キミの恋のはじまりは
なにをしているのかと、そっと近づき後ろから覗きこめば。
「……宿題?」
「そ。けっこうあるからヤバい」
「ふーん、えらいね」
泉の高校はこの付近では有名な進学校だから大変なんだろう。
でも、あの高校へ行けるなんて、泉は頑張ったんだと思う。
私は中学から女子校へ進学したから、地元の中学へ行った泉のことはよくわからない。
家が隣でも毎日顔を合わすわけじゃないし、一番長い時間を過ごす学校でのことなんてもっとわからない。
……幼なじみなんて、所詮そんなものだ。
別に特別でもなんでもない。むしろ、遠いのかもしれない。