キミの恋のはじまりは



天井から視線を巡らせば、ベットの上にはさっきまで莉世が着ていた俺のパーカーがきちんと畳まれて置いてある。


……気づいてないだろうなぁ~……。


莉世が帰るときの様子を思い出して、苦笑いが漏れる。



『あー、少し寝たらすっきりした!』



無遠慮にぐーんっと大きな伸びをして、眠気が覚めたのか溌剌とした様子だった。



『じゃ、帰るねー』



あ、パーカーありがと、とするりと脱ぐ。

受け取ろうかと振り向いたけれど。


……………。


またすぐ机に向き直って、悟られないよう、いつも通りを装った。



『……そこ、適当に置いといて』

『そう?じゃベットの上に置いとくね』

『うん』

『じゃーね』



背後からドアの閉まる音がして、一気に力が抜ける。


……Tシャツに短パンとか、マジでやめてほしい。目のやり場に困る。


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