キミの恋のはじまりは
でも。
『……そう、かもしれない』
あれは。
まだ兄貴に気持ちがあるってこと?
だれかと付き合ったりしないってこと?
だったら。
しばらくは誰かのものにはならないよな。
それなら俺も近くに、幼馴染のまま近くにいられる。
自分の中の安堵感に嫌気がさして、呻きながら机に思いっきり突っ伏した。
「あぁぁぁ……俺、ヘタレすぎる……」
そんなずるいやり場のない思考に、髪をがしゃがしゃと掻きむしりながら、思わず呟けば
「ほーんと、それなぁ」
と茶化すような声がして、驚いて顔を上げた。