キミの恋のはじまりは
ため息つきながらひとまず確認してみる。
「……どの辺見てた?」
「全部は見てない。パーカー着せてあげるところはみたけど。そこだけ」
「十分だよ。勝手に見んな」
不機嫌丸出しの声で言えば、兄貴はわざとらしく肩をすくめてみせる。
「だって見たくなっちゃうじゃん。泉がどんなふうに頑張ってんのかなーって」
両手を斜め後ろについて身体を支えながら、悪気なく笑う。
「あんなに甘やかしてるのに、気づかれないとか。むしろすごい!」
「ほっとけ」
「それに、あの普通っての?莉世、絶対に意味わかってないよ」
「知ってる」
「俺が思うにね~、多分……」
首をかしげて少し考えてから、はっと自分の中に見つけた答えを明るい調子で言う。