キミの恋のはじまりは
黙りこくった俺を見て、兄貴はさすがにまずいと思ったのか、いつになく優しく心の中を覗くような声で
「……でもさ、俺と友莉さんは泉の味方だよ」
とか言うから、子供扱いするなと思いながら、安堵感が広がるのも本当で悔しい。
さっきまでの人をからかうような素振りをふっと消して、あっという間に固くなっていた気持ちを解してくれる。
……こういうところ、敵わないんだよな……。
「……もっと強力な助っ人欲しい……」
照れ隠しで反論すれば、兄貴はふんわりと笑って「俺ら以上の助っ人いないっしょ」と言ったあと、ぐっと目に力を込めて
「もうこれは泉の力不足。守りすぎ」
痛い言葉をくれる。
ずばり真髄をつかれれば、何も言い返せない。
守りすぎって、守るしかないじゃん。
莉世は俺に今以上の関係を求めてない。それを壊すのがこわい。
どうしたら……。本当はその答えは出てるけど、まだ踏み切れないだけ。
「まぁ、味方って言ってもなにもできないんだけどねー」
兄貴はさらりと言ってのけて、また意地悪く口に弧を描く。