キミの恋のはじまりは
episode 3
◆ ◆ ◆
足先の感覚がなかった。
5月とはいえ雨上がりの湿ったアスファルトは冷たくて、靴下に染み入った雨水が私の足の感覚を奪っていた。
靴下がどろどろに汚れて色を変えていたけれど、そんなことどうでもよかった。
お母さんになんて言おう……。
私の頭の中は親への言い訳を考えることでいっぱいだった。
新しい学校。新しいクラス。……予想通り、私は馴染めなかった。
転校して1ヶ月。靴を隠されるのはもはや日常的な出来事で、探し出すのも楽勝になっていたと思ったのに。
やっぱり泉がいないと見つからない……。