キミの恋のはじまりは
泉の手が静かに離れていった。
それでも身じろぎできずに立ちすくんだままでいれば、「ごめん」小さな謝罪が落ちてくる。
それを聞けば、やはり生まれるのは罪悪感で。
急いで瞬きをして、口元に笑みを貼り付けて泉を見上げた。
「……帰ろう」
「……ん、そーだな」
泉の笑った顔が苦しそうで、私は目をそらした。
もう何度目かわからない「ごめんね」をまた胸にしまったまま、2人で並んで改札へ向かった。