キミの恋のはじまりは
『莉世~、そっじゃないよ、こっち、こっち!』
くいっと手を掴まれて『駄菓子屋、こっちだよ。行こ、行こ』とにっこり笑って私の手を引いてくれた。
泉の手が温かくて、嬉しくて、いつもふわふわしてた。
『莉世~、リコーダー持ってきた?』
『莉世~、今日、うちで夕飯食べてきなよ!』
『莉世~、ゲームしよ!』
泉に名前を呼ばれると、なんかくすぐったい感じがして。
泉が私に向けてくれる笑顔を見れば、心が温かくなって。
――――だから。
私のせいで、それが曇っていくことに耐えられなかった。