flying dolphin

shine memory4

〜XJ 涙の見合浜花火〜

紬の存在を知ったのは高校入学の日、通学のバスの車内。

渚から渚東高校前までは一駅だけど 高校生生活初日から 体は気だるさに包まれて 座って行きたい気分だったんだ。

だから 空いている席はないかと車内を見渡した時に バス後方の入り口ドア付近にある1人用のシートに座っている紬を見かけた。

一瞬だ!そう一瞬にして紬を見た俺は恋をした!!

彼氏がいるかもしれないのに 俺の勝手に片想いが ここから始まった。

そしてこのバスに乗り込み10分経つか経たないかの車内の空間が俺には とてつもなく貴重な時間となった!

だから その日は紬に一目惚れした俺のテンションは変に高くなっていた。

親友のアキラとの会話をそれこそ変に盛り上げて わざと声を張り上げてみたりもして

自分の存在を知ってもらいたいという願望が働いていたのも確か。

だから車内の乗客にも少し迷惑をかけてしまっていたかもしれない。

そう考えると 紬の座る場所が進行方向右側の最後部席の右端、窓際の誰からも いや特に自分達から離れられそうな場所に座るようになったのではと反省もした。

いつか自然に話し合うことができたらと胸の中に秘めたまま1年が過ぎていった。
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