flying dolphin
それから 5時間くらい経った頃、

ピロン♪

ヒロはLINEを開いた。

紬(パパ とりあえず心筋炎で緊急手術を終えたんだけど まだ危険な状態なんだって(涙)

(わたし 今日は パパと一緒にいようかと思う)

ヒロ(そっかぁ。そうだね それがいいと思う)

(お父さん七瀬さんが側にいてくれて安心だよ)

(俺もお父さんが無事病を乗り切れるように祈ってる!)

紬(ありがとう)

ヒロ(うん じゃあ)

紬(うん) ピコッ♪

パァーーーーーーーン!! パパァーーーン! パパパーーーン!!

病室の窓から花火が見えた。

ヒロは薄暗くなった中でバイクを横に押しながら 振り返ると花火を見た。

こんな形で花火大会を迎えることになると2人は思ってもみなかった。

笑いに包まれるはずの花火大会が涙で花火が歪んで見えた。

明陽(紬ちゃん ママ一度 お家に帰って ちょっとパパの足りない荷物取りに行くけど 紬ちゃんは一緒に帰ってお家で休もうか?)

紬(ううん。)紬は首を振った。

(わたし パパと居る パパの横に居たいの)

明陽(そう。じゃあ眠たくなったら このベンチ仮設ベッドになるから毛布かけて寝るのよ)

明陽(ママは紬ちゃんが居てくれるなら また明日の朝に来るけど もし何かあったら電話してちょうだい。)

紬(うん。わかった)

明陽が病室を去っていった。

明陽は病院の正面玄関を出ると 少し離れたところにあるベンチに腰掛ける少年が視界に入ったが、そこは横目に家へと帰っていった。

見合浜の花火の音は鳴り響いていた。
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