葦名絢芽は、初恋を諦めたい
「塾って帰りは何時になるの?」
「十時になるね。でも、自転車で行ける距離だから大丈夫だよ」

歩くより危険は少ないはず。

治安が悪い場所でもないし。

「そっか……」

伊織くんはそう答えていたけど、なぜか難しい顔のままだった。

一体、どうしたんだろ?

伊織くんも塾通い考えているのかな?

編入試験を満点に近い点を取って受かったなんて噂が流れていた。

実際、伊織くんは小学生の頃のテストは常に全教科満点取っていた。

塾行かなくても頭いいと思う。




食事を終えた後、私は洗い物をしていた。

食洗機に入れてスイッチを押すだけで終了だけど。

「残った塾の課題やんなきゃ」

私は先週に行った時に出された課題を思い出た。

伊織くんは引き続き、荷物の整理をしている。

何かあったら声をかけてとは言ったけど、邪魔になるよね。

私は、勉強に集中するか……と思いながらリビングを出ていった。
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