葦名絢芽は、初恋を諦めたい





「本当は、ご両親も一緒に帰国する予定だったの。でも、海外勤務が延びてね。高校生になったってことで伊織くんだけ帰国することになったの」

伊織くんのお父さんは実業家だ。結構大きな会社で事業は海外にも展開している。

「でも、お義姉さんが一人暮らしは心配だからって仰っていたから、うちで面倒みましょうかって提案したら。お願いしますって言ってくれたの」
「な、なんで、そんな大事なこと早く教えてくれなかったの?」

私が眉をひそめると、お母さんは茶化すようにウインクを飛ばした。

「……サプライズよ」

開いた口が塞がらない。
 
「絢芽、伊織くん大好きでしょ?」
「そんなの、小さい頃の話だよ」

気恥ずかしくなって、思わずそっぽ向いてしまう。

「ちなみに絢芽と同じ高校に編入するから」
「分かったよ……」

口ではお母さんに敵わない。説き伏せるなんて出来ず、お手上げで同居話を受け入れるしかなかった。

高校も同じ……。

一体、どうなっちゃうんだろう。
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