純愛カタルシス💞純愛クライシス
プロローグ
某出版社の小さな会議室に肩を並べた男がふたり、この世の終わりを表したような様相で、パイプ椅子に腰かけていた。お通夜のような重苦しい空気を嗅ぎつけた男が、会議室の扉を開けるなり、大きな声で問いかける。
「ちょっとちょっと、どうしちゃったの~? 春菜が盛大にやらかしてくれたおかげで、ウチの雑誌が売り切れになったというのに。そのせいで疲れたからって、そんな顔をしてんじゃないわよね?」
自身のHappyを分けるような声色で話しかけた副編集長を前にしても、ふたりそろって答えない。
「燃え尽き症候群にしては、おかしいわよね。白鳥、アンタの頭、おーいずみなんちゃらみたいな髪型になってるせいで、鳥の巣にされるかもしれないわよ」
「アキラ、触れてやるな。白鳥は俺以上に、ショックがでかいんだから」
長机に頬杖をついて、どこを見てるのかわからない白鳥のフォローに、一之瀬がやっとまわった。
「なによ、この間挨拶に来た幼なじみのかわいい美羽ちゃんと、念願の恋人になれたんでしょ。もう別れちゃったの?」
お礼の挨拶に来た美羽を見た途端に、副編集長は一之瀬の予想通りのリアクションをした。
『んまぁ! 我社に財を成した美しい弁天様が、わざわざいらっしゃるなんて❤️』
ゴツイ体をぶるぶる身震いさせたと思ったら、両腕を拡げて抱きつこうとしたのを見て、白鳥がすかさず美羽を抱きしめて庇い、一之瀬が副編集長を羽交い締めにした。カオスなその様子を見た編集部にいる外野は、冷たい視線を送ったのだった。
「まだ別れてねぇよ。でも白鳥がやらかしたせいで、別れるかもしれない」
困ったように両肩を竦めて説明する一ノ瀬に、間髪おかずに質問をする。
「なにをやらかしたのよ?」
副編集長が小さな目で何度も瞬きしながら白鳥を見ても、相変わらず虚ろなままで、答える様子は皆無だった。
「はじめての夜って言えば、わかる感じ?」
一ノ瀬が仕方なく、言葉を濁しながら告げる。
「あ~、なるほどね。大好きな美羽ちゃんとヤるのに、三擦り半でイっちゃったんでしょ? それはちょっとねぇ。同じ男として、気持ちはわからなくはないけど」
意味なく頷きながら胸の前で腕を組み、淡々と語った副編集長に、一ノ瀬の乾いた声が被せられた。
「まだ、ソッチのほうが良かったんじゃないかと思う」
「はぁあ? どういうこと?」
「勃たなかったんだとよ。だから凄十飲んどけって言ったのに」
一ノ瀬の返答で、はじめて白鳥がピクリと動いた。悲しみに暮れる瞳で、副編集長の顔を見る。
「勃たないなんて、そんなのおかしいわ~。だって、ずっと好きだった相手なのよ。普通は勃ちすぎてギンギンのガンガンで、もうどうにもとまらないby山本リンダで、カーニバル状態なのに~」
副編集長は言いながら、なぜか両腕をひょいひょい動かし、盆踊りの真似をする。
「カーニバルって、どんな祭りなんだよ。そっちのが意味不明だぞ」
呆れた口調で一之瀬が話しかけると、副編集長は盆踊りをやめて、白鳥に指を差した。
「ちょっとちょっと、どうしちゃったの~? 春菜が盛大にやらかしてくれたおかげで、ウチの雑誌が売り切れになったというのに。そのせいで疲れたからって、そんな顔をしてんじゃないわよね?」
自身のHappyを分けるような声色で話しかけた副編集長を前にしても、ふたりそろって答えない。
「燃え尽き症候群にしては、おかしいわよね。白鳥、アンタの頭、おーいずみなんちゃらみたいな髪型になってるせいで、鳥の巣にされるかもしれないわよ」
「アキラ、触れてやるな。白鳥は俺以上に、ショックがでかいんだから」
長机に頬杖をついて、どこを見てるのかわからない白鳥のフォローに、一之瀬がやっとまわった。
「なによ、この間挨拶に来た幼なじみのかわいい美羽ちゃんと、念願の恋人になれたんでしょ。もう別れちゃったの?」
お礼の挨拶に来た美羽を見た途端に、副編集長は一之瀬の予想通りのリアクションをした。
『んまぁ! 我社に財を成した美しい弁天様が、わざわざいらっしゃるなんて❤️』
ゴツイ体をぶるぶる身震いさせたと思ったら、両腕を拡げて抱きつこうとしたのを見て、白鳥がすかさず美羽を抱きしめて庇い、一之瀬が副編集長を羽交い締めにした。カオスなその様子を見た編集部にいる外野は、冷たい視線を送ったのだった。
「まだ別れてねぇよ。でも白鳥がやらかしたせいで、別れるかもしれない」
困ったように両肩を竦めて説明する一ノ瀬に、間髪おかずに質問をする。
「なにをやらかしたのよ?」
副編集長が小さな目で何度も瞬きしながら白鳥を見ても、相変わらず虚ろなままで、答える様子は皆無だった。
「はじめての夜って言えば、わかる感じ?」
一ノ瀬が仕方なく、言葉を濁しながら告げる。
「あ~、なるほどね。大好きな美羽ちゃんとヤるのに、三擦り半でイっちゃったんでしょ? それはちょっとねぇ。同じ男として、気持ちはわからなくはないけど」
意味なく頷きながら胸の前で腕を組み、淡々と語った副編集長に、一ノ瀬の乾いた声が被せられた。
「まだ、ソッチのほうが良かったんじゃないかと思う」
「はぁあ? どういうこと?」
「勃たなかったんだとよ。だから凄十飲んどけって言ったのに」
一ノ瀬の返答で、はじめて白鳥がピクリと動いた。悲しみに暮れる瞳で、副編集長の顔を見る。
「勃たないなんて、そんなのおかしいわ~。だって、ずっと好きだった相手なのよ。普通は勃ちすぎてギンギンのガンガンで、もうどうにもとまらないby山本リンダで、カーニバル状態なのに~」
副編集長は言いながら、なぜか両腕をひょいひょい動かし、盆踊りの真似をする。
「カーニバルって、どんな祭りなんだよ。そっちのが意味不明だぞ」
呆れた口調で一之瀬が話しかけると、副編集長は盆踊りをやめて、白鳥に指を差した。