純愛カタルシス💞純愛クライシス
「高木くんとは、よくケンカをしてました。だってなにかあると、すぐに調子に乗るしふざけるし、からかったりするし。子どもみたいな人なんですもの」
高木さんの性格が子供じみてるのは、堀田課長とのやり取りをからかわれたときに、思ったことだった。
(クラスの男子に必ずいるよね。好きなコにちょっかいをかけた結果、悪ふざけしすぎて怒らせた挙句に叱られて、しょげてるヤツ。好きなクセに、素直に接したらいいのになぁ)
白い目で高木さんを見たら、ひどくしょんぼりした表情でまぶたを伏せて、顔を俯かせる。学くんもそういう傾向はあったものの、ここまで構って君じゃなかったところは、まだ大人だったと言えよう。
「私と高木くんがケンカすると、必ずあの人が仲裁に入って仲直りするというのが、パターン化していわよね」
「そうだな……」
昔を思い出し、奥さんが訊ねたら、高木さんは俯いたまま答えた。
「あのちなみに3人は、どんな関係だったのでしょうか?」
話を聞いていて、なんとなく不思議に思ったので問いかける。
「私が彼らより二年先輩で、教育係をしていたの」
「あー、それで、高木くんと呼んでいたわけですか」
「高木くんからの猛アタックで付き合うことになったのに、職場の関係が混ざってしまったのも悪かったと思う。もう少し高木くんのおふざけがなければ、それなりにいい雰囲気になっていたのにね」
「その隙を、堀田課長に突かれてしまったんですね……」
恋愛関係がすんなりうまくいかないのは、誰だって同じ。ちょっとしたすれ違いで、簡単に壊れてしまう。
「ホテルで目が覚めた私の隣に、郁真さんが寝ていて、まったく状況がわからなかったわ。パニックに陥った感じ、どうしてこんなことにって」
「堀田課長は、そのときなんて言ったんですか?」
「私が郁真さんに慰めてほしいって、バーで頼み込んできたって。断っても諦めなかったから、仕方なく命令に従ったそうよ」
「クソっ! そんなデタラメなことを言って、愛良に手を出しやがって」
「奥さんには記憶がないから、否定することもできなかった。たった一夜の過ちで高木さんを裏切ったことを悔やみ、みずから別れて堀田課長とお付き合いすることを決めて、結婚したんですね?」
私の質問には答えずに、奥さんの瞳から涙が溢れ出る。
「ううっ、年下でもしっかりしていた郁真さんを、私なりに愛して、支えていたハズなのに。三年も裏切られていたなんて、こんなの信じたくない」
テーブルに突っ伏して泣きじゃくる奥さんの姿と、過去の自分を重ねてしまった。慰めたいのに、かける言葉が見つからない。
「今度は俺が支える……」
「高木さん?」
俯いていた高木さんは顔をあげて、泣きじゃくる奥さんを見下ろす。さっきまでの気弱な様子はまったくなく、むしろはじめて男らしいところを見た気がした。
「俺が愛良に甘えてばかりいたのが、そもそもの原因だ。ふざけて照れ隠ししてる場合じゃなかった。そして見たくないことから、逃げてばかりいたんじゃダメなんだ!」
「高木さん、しっかり心を入れ替えて、今度はちゃんと彼女を支えてあげてくださいね」
念を押して頼むと、無言で頷いた。気合いの入った様子に、既視感を覚える。それは私が弱っていたときに、学くんが復讐を手伝うと言ったあのときの様子と、よく似ていたからだった。
回り道をした私のとき同様に、彼らもうまくいくといいなと思いながら、奥さんが落ち着くのを眺めたのだった。
高木さんの性格が子供じみてるのは、堀田課長とのやり取りをからかわれたときに、思ったことだった。
(クラスの男子に必ずいるよね。好きなコにちょっかいをかけた結果、悪ふざけしすぎて怒らせた挙句に叱られて、しょげてるヤツ。好きなクセに、素直に接したらいいのになぁ)
白い目で高木さんを見たら、ひどくしょんぼりした表情でまぶたを伏せて、顔を俯かせる。学くんもそういう傾向はあったものの、ここまで構って君じゃなかったところは、まだ大人だったと言えよう。
「私と高木くんがケンカすると、必ずあの人が仲裁に入って仲直りするというのが、パターン化していわよね」
「そうだな……」
昔を思い出し、奥さんが訊ねたら、高木さんは俯いたまま答えた。
「あのちなみに3人は、どんな関係だったのでしょうか?」
話を聞いていて、なんとなく不思議に思ったので問いかける。
「私が彼らより二年先輩で、教育係をしていたの」
「あー、それで、高木くんと呼んでいたわけですか」
「高木くんからの猛アタックで付き合うことになったのに、職場の関係が混ざってしまったのも悪かったと思う。もう少し高木くんのおふざけがなければ、それなりにいい雰囲気になっていたのにね」
「その隙を、堀田課長に突かれてしまったんですね……」
恋愛関係がすんなりうまくいかないのは、誰だって同じ。ちょっとしたすれ違いで、簡単に壊れてしまう。
「ホテルで目が覚めた私の隣に、郁真さんが寝ていて、まったく状況がわからなかったわ。パニックに陥った感じ、どうしてこんなことにって」
「堀田課長は、そのときなんて言ったんですか?」
「私が郁真さんに慰めてほしいって、バーで頼み込んできたって。断っても諦めなかったから、仕方なく命令に従ったそうよ」
「クソっ! そんなデタラメなことを言って、愛良に手を出しやがって」
「奥さんには記憶がないから、否定することもできなかった。たった一夜の過ちで高木さんを裏切ったことを悔やみ、みずから別れて堀田課長とお付き合いすることを決めて、結婚したんですね?」
私の質問には答えずに、奥さんの瞳から涙が溢れ出る。
「ううっ、年下でもしっかりしていた郁真さんを、私なりに愛して、支えていたハズなのに。三年も裏切られていたなんて、こんなの信じたくない」
テーブルに突っ伏して泣きじゃくる奥さんの姿と、過去の自分を重ねてしまった。慰めたいのに、かける言葉が見つからない。
「今度は俺が支える……」
「高木さん?」
俯いていた高木さんは顔をあげて、泣きじゃくる奥さんを見下ろす。さっきまでの気弱な様子はまったくなく、むしろはじめて男らしいところを見た気がした。
「俺が愛良に甘えてばかりいたのが、そもそもの原因だ。ふざけて照れ隠ししてる場合じゃなかった。そして見たくないことから、逃げてばかりいたんじゃダメなんだ!」
「高木さん、しっかり心を入れ替えて、今度はちゃんと彼女を支えてあげてくださいね」
念を押して頼むと、無言で頷いた。気合いの入った様子に、既視感を覚える。それは私が弱っていたときに、学くんが復讐を手伝うと言ったあのときの様子と、よく似ていたからだった。
回り道をした私のとき同様に、彼らもうまくいくといいなと思いながら、奥さんが落ち着くのを眺めたのだった。