純愛カタルシス💞純愛クライシス
☆☆☆
若槻さんと公園に向かったら、美羽姉はすでに来ていて、ベンチにひとり腰かけて待っていた。
(――美羽姉の顔、なんだかかなり疲れているように見えるな)
無理に呼び出したことで、いろいろ考えさせてしまったかもしれないと思いながら、声をかける。
「美羽姉、お待たせ」
「学くん……」
美羽姉は微妙な面持ちで立ち上がりつつ、俺の背後に視線を飛ばす。その視線を受けた若槻さんが前に出て、深く頭を下げた。
「彼女さん、このたびは本当に、どうもすみませんでした!」
「……へぇ、それだけ?」
「つっ!」
落ち着いた声の中に、なにか隠してるのを感じとったのは俺だけじゃなく、頭を下げてる若槻さんにも伝わったらしい。頭をさげてる彼女の体が、小さくビクついた。
「貴女、自分がなにをしたのか、わかっていて頭を下げてるのよね?」
声のトーンをあげて訊ねる美羽姉に、若槻さんは恐るおそる頭をあげてから答える。
「はい。彼女がいるのを知っていながら、白鳥に手を出しました」
「私、貴女が彼にキスしたのを見たんだけど、なにを言って誘ったの?」
「美羽姉、わざわざつらいことを思い出すことはないって」
「学くんは黙ってて!」
ピシャリと言い放たれてしまったため、俺からはこれ以上、なにも言えなくなってしまった。
「年下の彼女ほしくない? って言いました」
「ほかには?」
「ほかには……確か、二番目でもいいよ、雑に扱われても、文句言わない自信あるから。だったと思います」
「彼のことが好きだったの?」
怖い顔した美羽姉の問いかけに、若槻さんは大きく首を横に振った。
「白鳥のことは、同僚としていい奴っていう感じです。今回自信のあった仕事がボツになり、すごく落ち込んでしまって」
「すぐ傍にいる彼の優しさに、甘えてしまったということなのね?」
「そういうことになります……。本当にすみませんでした」
ふたたび頭を深く下げる若槻さんと、怒ったままの美羽姉を目の当たりにして、自分のできることを考えてみる。
「学くん、なにか言いたげだけど、なにを考えているの?」
思考しかけた瞬間に美羽姉に話しかけられてしまい、思いっきりキョどってしまった。
「やっ、なにって言われても、なんていうかこう……終わったことを蒸し返すのは、どうなのかなぁって」
「は?」
それは、めちゃくちゃ圧のある『は?』だった。なんでこんな返事をされたのかわからず固まっていると、額に手をあてた若槻さんがゆっくり頭をあげて、「白鳥のバカ」と呟いた。
若槻さんと公園に向かったら、美羽姉はすでに来ていて、ベンチにひとり腰かけて待っていた。
(――美羽姉の顔、なんだかかなり疲れているように見えるな)
無理に呼び出したことで、いろいろ考えさせてしまったかもしれないと思いながら、声をかける。
「美羽姉、お待たせ」
「学くん……」
美羽姉は微妙な面持ちで立ち上がりつつ、俺の背後に視線を飛ばす。その視線を受けた若槻さんが前に出て、深く頭を下げた。
「彼女さん、このたびは本当に、どうもすみませんでした!」
「……へぇ、それだけ?」
「つっ!」
落ち着いた声の中に、なにか隠してるのを感じとったのは俺だけじゃなく、頭を下げてる若槻さんにも伝わったらしい。頭をさげてる彼女の体が、小さくビクついた。
「貴女、自分がなにをしたのか、わかっていて頭を下げてるのよね?」
声のトーンをあげて訊ねる美羽姉に、若槻さんは恐るおそる頭をあげてから答える。
「はい。彼女がいるのを知っていながら、白鳥に手を出しました」
「私、貴女が彼にキスしたのを見たんだけど、なにを言って誘ったの?」
「美羽姉、わざわざつらいことを思い出すことはないって」
「学くんは黙ってて!」
ピシャリと言い放たれてしまったため、俺からはこれ以上、なにも言えなくなってしまった。
「年下の彼女ほしくない? って言いました」
「ほかには?」
「ほかには……確か、二番目でもいいよ、雑に扱われても、文句言わない自信あるから。だったと思います」
「彼のことが好きだったの?」
怖い顔した美羽姉の問いかけに、若槻さんは大きく首を横に振った。
「白鳥のことは、同僚としていい奴っていう感じです。今回自信のあった仕事がボツになり、すごく落ち込んでしまって」
「すぐ傍にいる彼の優しさに、甘えてしまったということなのね?」
「そういうことになります……。本当にすみませんでした」
ふたたび頭を深く下げる若槻さんと、怒ったままの美羽姉を目の当たりにして、自分のできることを考えてみる。
「学くん、なにか言いたげだけど、なにを考えているの?」
思考しかけた瞬間に美羽姉に話しかけられてしまい、思いっきりキョどってしまった。
「やっ、なにって言われても、なんていうかこう……終わったことを蒸し返すのは、どうなのかなぁって」
「は?」
それは、めちゃくちゃ圧のある『は?』だった。なんでこんな返事をされたのかわからず固まっていると、額に手をあてた若槻さんがゆっくり頭をあげて、「白鳥のバカ」と呟いた。