純愛カタルシス💞純愛クライシス
♡♡♡
(動きやすい服装で当日逢おう)という指定を受けたので、メガネからコンタクトレンズに変更し、パンツルックにぺたんこ靴のいでたちで家を出る。
成臣くんの行きたい場所で、動きやすい服装をしなければならないってことは、アスレチック施設かなと、駅前にて考えにふけっているところに現れた、重低音のエンジン音を響かせた見慣れない一台の大型バイク。
「え゛?」
「よっ、待たせたな」
大型バイクから降り立ち、ヘルメットを外した成臣くんのめちゃくちゃカッコイイことこの上ない! 思わず変な声が出そうになった。
(大好きな人が白馬に跨ってやってきたんじゃなく、大型バイクで目の前に現れて、動揺しない女がいる? 臥龍岡先輩どうしよう! 好きって気持ちが、絶対に駄々漏れしちゃう!)
「なっ成臣くん、ば、バイクの免許もってたんだ、ぁ?」
問いかける声が、ところどころ震えてしまった。
「ああ、たまに遠出して写真撮影してたから」
真顔で言いながら、私をじっと見下ろす。
成臣くんの視線がどうにも気恥ずかしくて、俯いてやり過ごすしかなかった。だって自分の気持ちを、なんとかして隠さなければならない。
(――私たちはただの友達、ただの友達の関係なんだから!)
「とりあえずこれ着て」
心の中で友達を連呼する私に、成臣くんは着ていた革ジャンを手早く脱ぎ、私の肩に羽織らせる。
「成臣くんは大丈夫なの?」
恐るおそる訊ねつつ、成臣くんのぬくもりを感じる革ジャンに袖を通した。やっぱり男性ものはすごく大きい。ギリギリ指先が出る感じの萌え袖になる。体に伝わってくる成臣くんのぬくもりがじんわりあったかくて、にやけそうになった。
「俺は平気。走ってる途中で千草ちゃんが転げ落ちて、怪我したら困るから。それとこれ」
私が革ジャンを着たのをちゃんと確認してから、大きなヘルメットをズボッと被せられる。見た目よりそこまで重くないものの、それなりに閉塞感があった。
「千草ちゃん、そのままじっとしてて」
きちんと顎紐をとめてくれるときに、成臣くんの顔がものすごく近くにあって、そりゃあもう心臓が否応なしに高鳴る。
「これでよし。じゃあ次は、この出っ張りに片足をかけて跨って」
成臣くんに言われたとおりにバイクの出っ張りに足をかけながら、高さのあるシートに両手をついてなんとか跨った。
「ぷっ……」
「な、なに?」
ヘルメット越しだったけど、私の様子をまじまじと眺める成臣くんが、おかしそうに吹き出した声を、ハッキリ聞いた。
「俺を難なくベッドに押し倒したり、暴れる春菜を押さえつけてた千草ちゃんと、今の千草ちゃんが全然違うなって」
「だだだ、だってはじめてバイクに乗るのよ。戸惑うに決まってる」
バイクに跨る以上に、大好きな成臣くんが私に世話を焼いてくれることが戸惑いの原因だったりするけど、それは口に出してはいけない。
「革ジャン着てる姿、小さいコみたいでかわいい。とりあえず俺の腰に捕まってたら落ちないから」
クスクス笑った成臣くんもバイクに颯爽と跨り、エンジンをかける。いつ走り出すかわからないので、慌てて目の前にある腰にぎゅっと抱きついた。
(うっ、嬉しい! 大好きな成臣くんに思う存分に抱きつけるとか、なんのご褒美なんだろ!)
私は知らなかった。サイドミラーにニヤけた私の顔がバッチリ映っていることに。ちゃっかりそれを見た成臣くんが、嬉しそうに笑いながら、バイクを運転していたことも――。
(動きやすい服装で当日逢おう)という指定を受けたので、メガネからコンタクトレンズに変更し、パンツルックにぺたんこ靴のいでたちで家を出る。
成臣くんの行きたい場所で、動きやすい服装をしなければならないってことは、アスレチック施設かなと、駅前にて考えにふけっているところに現れた、重低音のエンジン音を響かせた見慣れない一台の大型バイク。
「え゛?」
「よっ、待たせたな」
大型バイクから降り立ち、ヘルメットを外した成臣くんのめちゃくちゃカッコイイことこの上ない! 思わず変な声が出そうになった。
(大好きな人が白馬に跨ってやってきたんじゃなく、大型バイクで目の前に現れて、動揺しない女がいる? 臥龍岡先輩どうしよう! 好きって気持ちが、絶対に駄々漏れしちゃう!)
「なっ成臣くん、ば、バイクの免許もってたんだ、ぁ?」
問いかける声が、ところどころ震えてしまった。
「ああ、たまに遠出して写真撮影してたから」
真顔で言いながら、私をじっと見下ろす。
成臣くんの視線がどうにも気恥ずかしくて、俯いてやり過ごすしかなかった。だって自分の気持ちを、なんとかして隠さなければならない。
(――私たちはただの友達、ただの友達の関係なんだから!)
「とりあえずこれ着て」
心の中で友達を連呼する私に、成臣くんは着ていた革ジャンを手早く脱ぎ、私の肩に羽織らせる。
「成臣くんは大丈夫なの?」
恐るおそる訊ねつつ、成臣くんのぬくもりを感じる革ジャンに袖を通した。やっぱり男性ものはすごく大きい。ギリギリ指先が出る感じの萌え袖になる。体に伝わってくる成臣くんのぬくもりがじんわりあったかくて、にやけそうになった。
「俺は平気。走ってる途中で千草ちゃんが転げ落ちて、怪我したら困るから。それとこれ」
私が革ジャンを着たのをちゃんと確認してから、大きなヘルメットをズボッと被せられる。見た目よりそこまで重くないものの、それなりに閉塞感があった。
「千草ちゃん、そのままじっとしてて」
きちんと顎紐をとめてくれるときに、成臣くんの顔がものすごく近くにあって、そりゃあもう心臓が否応なしに高鳴る。
「これでよし。じゃあ次は、この出っ張りに片足をかけて跨って」
成臣くんに言われたとおりにバイクの出っ張りに足をかけながら、高さのあるシートに両手をついてなんとか跨った。
「ぷっ……」
「な、なに?」
ヘルメット越しだったけど、私の様子をまじまじと眺める成臣くんが、おかしそうに吹き出した声を、ハッキリ聞いた。
「俺を難なくベッドに押し倒したり、暴れる春菜を押さえつけてた千草ちゃんと、今の千草ちゃんが全然違うなって」
「だだだ、だってはじめてバイクに乗るのよ。戸惑うに決まってる」
バイクに跨る以上に、大好きな成臣くんが私に世話を焼いてくれることが戸惑いの原因だったりするけど、それは口に出してはいけない。
「革ジャン着てる姿、小さいコみたいでかわいい。とりあえず俺の腰に捕まってたら落ちないから」
クスクス笑った成臣くんもバイクに颯爽と跨り、エンジンをかける。いつ走り出すかわからないので、慌てて目の前にある腰にぎゅっと抱きついた。
(うっ、嬉しい! 大好きな成臣くんに思う存分に抱きつけるとか、なんのご褒美なんだろ!)
私は知らなかった。サイドミラーにニヤけた私の顔がバッチリ映っていることに。ちゃっかりそれを見た成臣くんが、嬉しそうに笑いながら、バイクを運転していたことも――。