純愛カタルシス💞純愛クライシス
成臣くんは手にしたコップをもう一度ベンチに置き、ついでに私のコップも手から外して同じところに置く。
「こんな俺を好きになってくれるヤツなんて、誰もいないと思ってた」
そう言って私の両手を掴み、大きな手で包み込んでくれる。コップから伝わってくる熱よりも成臣くんの手が熱いのは、気のせいなんかじゃない。
包み込まれた自分の手を見てから、ゆっくり顔をあげたら、真剣なまなざしとかち合う。胸が痛いくらいに締めつけられた。
「千草が何度も好きって言って、殻に閉じこもっていた俺の心に衝撃を与えてくれたおかげで、やさぐれていたものとか、いろんなものが壊された感じがするんだ」
いつもより低くて掠れた声は、聞いたことのないものだからこそ、耳で捉えた瞬間に鼓膜に貼りつく。
(この声の感じや高い体温といい成臣くん、表面上は落ち着いてるように見えるのに、実は違っているのかも――)
「成臣くんの殻が壊れた先は、どうなっちゃうのかな?」
「気になる?」
顎を引きながら私を見つめる彼の瞳は、少しだけ揺らいでいた。
「気になるよ」
「それを見るために、友達じゃなく恋人として、俺と付き合ってみないか?」
「えっ!」
熱を帯びた成臣くんの声が染み込む。ドキドキしていた胸の高鳴りが最高潮になるかと思ったのに、なぜかフラットになった。目の前にいる、落ち着き払った成臣くんを真似しているみたいに。
そのせいでリアクションに困り、金縛りにあったように全身を硬直させる私を見て、成臣くんの表情が曇った。
「先にキスしちゃったり、順番が逆になってしまったんだけど、その、あー……」
そのうち視線が彷徨い、言葉がしどろもどろになっていくに従って、成臣くんの顔がじわじわ赤く染まっていく。
らしくない成臣くんに思わず笑いかけると、弱りきった面持ちでポツリと呟く。
「千草がくれる好きという気持ちを、俺の空っぽの心に貯めて、今度はそれを返したい」
「それって、無限ループになるんじゃないの?」
「無限ループになるから、いいと思ったんだ。離れられないように、ずっと一緒にいたい」
成臣くんの大きな手に力が入り、緩く包まれていた両手が痛いくらいに握りしめられる。
「今度は俺が千草を追いかける。今日みたいに、たくさん好きだって言ってもらえるようなデートをしたり、こうして想いを通わせて、笑いあっていたいんだ」
強い海風が吹いていたけど、そんなものは全然気にならなかった。それはまるで成臣くんの運転する、バイクの後ろに乗っているときみたい。冷たい風がどんなに吹き荒んでも、彼から伝わってくる熱がそれを無にしてしまう。
「君がくれる好きという想いよりも、俺は君を好きになる。村田千草さん、俺と付き合ってください」
念押しするような告白に、私は迷うことがなかった。
「猪突猛進型の不束者ですが、末永くお付き合いしてください」
そして引き寄せ合う感じで互いに顔を近づけ、誓いのキスをかわし、成臣くんの恋人として交際がスタートした。ずっと好きだった人と付き合い、結ばれることは本当に夢のようで、幸せな日々を過ごすことになったのだった。
「こんな俺を好きになってくれるヤツなんて、誰もいないと思ってた」
そう言って私の両手を掴み、大きな手で包み込んでくれる。コップから伝わってくる熱よりも成臣くんの手が熱いのは、気のせいなんかじゃない。
包み込まれた自分の手を見てから、ゆっくり顔をあげたら、真剣なまなざしとかち合う。胸が痛いくらいに締めつけられた。
「千草が何度も好きって言って、殻に閉じこもっていた俺の心に衝撃を与えてくれたおかげで、やさぐれていたものとか、いろんなものが壊された感じがするんだ」
いつもより低くて掠れた声は、聞いたことのないものだからこそ、耳で捉えた瞬間に鼓膜に貼りつく。
(この声の感じや高い体温といい成臣くん、表面上は落ち着いてるように見えるのに、実は違っているのかも――)
「成臣くんの殻が壊れた先は、どうなっちゃうのかな?」
「気になる?」
顎を引きながら私を見つめる彼の瞳は、少しだけ揺らいでいた。
「気になるよ」
「それを見るために、友達じゃなく恋人として、俺と付き合ってみないか?」
「えっ!」
熱を帯びた成臣くんの声が染み込む。ドキドキしていた胸の高鳴りが最高潮になるかと思ったのに、なぜかフラットになった。目の前にいる、落ち着き払った成臣くんを真似しているみたいに。
そのせいでリアクションに困り、金縛りにあったように全身を硬直させる私を見て、成臣くんの表情が曇った。
「先にキスしちゃったり、順番が逆になってしまったんだけど、その、あー……」
そのうち視線が彷徨い、言葉がしどろもどろになっていくに従って、成臣くんの顔がじわじわ赤く染まっていく。
らしくない成臣くんに思わず笑いかけると、弱りきった面持ちでポツリと呟く。
「千草がくれる好きという気持ちを、俺の空っぽの心に貯めて、今度はそれを返したい」
「それって、無限ループになるんじゃないの?」
「無限ループになるから、いいと思ったんだ。離れられないように、ずっと一緒にいたい」
成臣くんの大きな手に力が入り、緩く包まれていた両手が痛いくらいに握りしめられる。
「今度は俺が千草を追いかける。今日みたいに、たくさん好きだって言ってもらえるようなデートをしたり、こうして想いを通わせて、笑いあっていたいんだ」
強い海風が吹いていたけど、そんなものは全然気にならなかった。それはまるで成臣くんの運転する、バイクの後ろに乗っているときみたい。冷たい風がどんなに吹き荒んでも、彼から伝わってくる熱がそれを無にしてしまう。
「君がくれる好きという想いよりも、俺は君を好きになる。村田千草さん、俺と付き合ってください」
念押しするような告白に、私は迷うことがなかった。
「猪突猛進型の不束者ですが、末永くお付き合いしてください」
そして引き寄せ合う感じで互いに顔を近づけ、誓いのキスをかわし、成臣くんの恋人として交際がスタートした。ずっと好きだった人と付き合い、結ばれることは本当に夢のようで、幸せな日々を過ごすことになったのだった。