純愛カタルシス💞純愛クライシス
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 村田先輩のツテで、以前勤めていた会社の関連企業に再就職した私は、一人暮らしをはじめた。いつまでも親に頼ってばかりもいられないし、なにより学くんとふたりきりの時間を作りたかったのもある。

(あーあ。仕事が忙しくて助かるなんて、なんだかなぁ……)

 あれは引越ししてから、数日経ったときのこと。働きながらだと、なかなか思うように荷物の片付けができなくて、見かねた学くんが手伝いに来てくれた日だった。

『美羽姉、これはどこにしまえばいい?』

「あ、それね、クローゼットの棚にあげて欲しい箱なんだ。高いところに置くものだったから、後まわしにしちゃった」

『それって俺の仕事を、わざわざ残してくれた感じ?』

 嬉しそうに瞳を細めた学くんは、指定されたところに荷物を置く。そんな彼の背中を立ったまま、なんとはなしに眺めた。

 キス以上のことをしない、学くんとの関係――それをどうやって、その先に進ませるか。いつもは相手にまかせていたので、自然と深い関係になれたのだけれど、今さらこんなことで頭を悩ませることになるとは、思いもしなかった。

『おいおい美羽姉、手が止まってる。だから片付かないんだぞ』

「そ、そうだね。学くんとふたりきりだなぁって考えたら、つい……」

 着ているTシャツの裾を両手で握ってモジモジしたら、学くんが傍にやって来た。

『そんなことを考えるなんて、美羽姉は意外とエッチだったんだ?』

 私を見下ろす学くんの瞳の感じが、がらりと変わった。学くんを意識してから、ときどき物欲しそうなまなざしを向けられていることに気づいた。付き合ってからは、その回数が顕著に増えている。

「ちがっ、ううっ……その、学くんのキスが最近うまくなってて、感じてしまうというか」

 粘り気を感じさせる視線にあたふたしたせいで、変なことを言ってしまい、思いっきり墓穴を掘った。

『……ホントに?』

 大きな両手が私の頬を包み込み、彷徨う視線を学くんに固定させた。注がれる視線に自分の視線を合わせながら、思いきって告げてみる。

「感じたついでに、シてもいいかなって……」

『へっ?』

「ま、学くんに抱かれたいっ!」

 あまりの恥ずかしさに、このときはまぶたを閉じてしまった。大きな手に包まれてる頬もムダに熱くて、顔が赤くなってるのがわかりすぎる。

『美羽、すごくかわいい』

 学くんはぎゅっと閉じたまぶたにキスをしてから、優しく唇を塞ぐ。やんわりと挿入してきた学くんの舌に、自分の舌を絡ませた。求めるように蠢く舌に、どんどん感じさせられてしまう。

「ンン、ぁあっ」

 鼻にかかったような甘い声を出すと、頬を包んでいた両手が外され、肩と腰に腕が回された。私も学くんのシャツを掴んで自分から唇を押しつけ、密着度をあげる。

「はぁはあ、んあっ」

 互いに顔を離したら、顔を真横に向けた学くんが私の首筋にむしゃぶりつき、チリッとした痛みを与えた。耳に聞こる呼吸音で、すごく興奮しているのが伝わってくる。
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