偽りの恋人と生贄の三日間
 談話室に来てみたものの、特にやることがなかった。外に出られればキトエと行ってみたい場所がたくさんあるのだが、城に入ったときから結界で外に出られないのだった。

 城に入ってすぐ、結界を壊せないか何度も何度も魔法をぶつけた。けれど、壊せなかった。城に入ったときから、魔力に制限がかかって吸い取られているからかもしれなかった。

 城内探検も昨日のうちにとっくに終わっている。

「カードでもする? 昨日はババ抜きと神経衰弱をしたから、それ以外に何か」

 棚からカードゲームの本を取って、めくっていく。

「これはどう? 山からカードを一枚ずつ取って額にあてる。自分のカードは見ちゃだめだけど、相手のカードは見える状態。最終的に数が大きいほうが勝ち。カードを見せ合う前に会話して一回だけカードを変えることができる。捨てるときは表でも裏でもよい。カードの強さは強い順にジョーカー、エース、キング、クイーン、ジャック、十、九、八、七、六、五、四、三、二。マークの強さはスペード、ハート、ダイヤ、クラブ。どう?」

「分かった」

「特別ルールで、勝ったほうが負けたほうに何でもひとつお願いできる」

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