偽りの恋人と生贄の三日間
「恋人同士でしょ? 告白をすっ飛ばしてたなって。恋人になる前に告白するでしょ? ね?」
かわいそうなほど、キトエの眉が下がっている。
翼を模した金色のパーツに、水色の滴型の宝石がいくつも下がったピアスが、揺れて太陽の光を細かく弾いている。リコが昔プレゼントした、キトエの髪と同じ色の宝石がついたものだ。我ながらよくキトエに似合っているものを選べた、とリコはきららかなピアスからキトエの表情に目を移す。
困っている。とても。
「嫌?」
尋ねると、キトエは目を泳がせた。
「いや、嫌とかでは、いやでも」
「嫌でも嫌じゃなくても、主の命令なんだけど……恋人なんだから本当は命令じゃなくて言ってくれたほうが嬉しいんだけど」
つけ足すと、何か心に刺さったのか、キトエが苦しげな顔になった。
「分かった」
キトエはリコの目の前まで歩いてきて、ひざまずく。ベルトの背中から長い飾り布が水色の花々に広がって、腰に帯びた剣が揺れる。
逡巡して、キトエはリコを見上げた。
「リ、リコに、一生を捧げることを誓う」
それ以上続かなかったので、リコはうなる。
かわいそうなほど、キトエの眉が下がっている。
翼を模した金色のパーツに、水色の滴型の宝石がいくつも下がったピアスが、揺れて太陽の光を細かく弾いている。リコが昔プレゼントした、キトエの髪と同じ色の宝石がついたものだ。我ながらよくキトエに似合っているものを選べた、とリコはきららかなピアスからキトエの表情に目を移す。
困っている。とても。
「嫌?」
尋ねると、キトエは目を泳がせた。
「いや、嫌とかでは、いやでも」
「嫌でも嫌じゃなくても、主の命令なんだけど……恋人なんだから本当は命令じゃなくて言ってくれたほうが嬉しいんだけど」
つけ足すと、何か心に刺さったのか、キトエが苦しげな顔になった。
「分かった」
キトエはリコの目の前まで歩いてきて、ひざまずく。ベルトの背中から長い飾り布が水色の花々に広がって、腰に帯びた剣が揺れる。
逡巡して、キトエはリコを見上げた。
「リ、リコに、一生を捧げることを誓う」
それ以上続かなかったので、リコはうなる。