偽りの恋人と生贄の三日間
「ええと、ごめんね。冗談だよ。ほかにあったら言って」

「特にない」

 毎度のごとく、自己嫌悪でリコの顔を見られなかった。

「じゃあお願いは取っておいていいから」

 リコに命令したいことなどない。何と答えればいいのか分からなかった。

「じゃあ二回目ね」

 リコがカードを集めて切り、真ん中に山として置いた。一枚ずつ引いて、額に掲げる。

 リコのカードはダイヤの三だ。先ほどは二だったから、これだけ弱いカードを続けて引くのも珍しい。リコの表情はあまり芳しくなく、隠そうとしているのだろうが、こちらのカードが強いので変えさせたいのだろうな、と予想する。

「変えたほうがいいと思う?」

 一回目と同じことを聞かれた。勝たなければおそらくリコは恋人関係の『お願い』をしてくるはずだから、勝ちたい。けれど正直に言ったほうがいいのか、うそをついたほうがいいのか、どちらが有利になるのか分からない。駆け引きは苦手なのだ。

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