偽りの恋人と生贄の三日間
「もうちょっとちゃんと考えてよう。ないならないで何だか傷付く」

 リコが頬を膨らませる。

「そういうつもりじゃない」

 慌てて否定した。リコに命令したいことはないが、願いなら数えきれないほどあるのだ。

 リコがおかしそうに微笑む。

「冗談だよ。いいよ、ふたつめのお願いも取っておいて」

 その微笑みが、本当にわずかに揺らいだのは気のせいだろうか。

 告げることのないだろう、ふたつぶんの『お願い』。終わりが決められた時間のなかで、『本物の恋人になってほしい』と『お願い』したら、どうなるのだろうか。

 すぐに考えるのをやめた。騎士は最後まで騎士の務めをまっとうする。心の底から仕える主のために。

 すべての痛みから目をそむけて、円卓のカードを見つめるリコを見つめた。焼きつけるように、自分の最期の瞬間まで、その姿を失わないように。
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