偽りの恋人と生贄の三日間
二日目
勝ったほうが負けたほうに何でもひとつお願いできる
浅い浅い眠りから目が覚めて、リコは重い体でベッドから下りた。支度をしようとドレッサーに座ると、自分の姿から後ろのヒョウの絵画がうっすら透けていた。
自分が、薄くなっている。
うそのような、うそではない現実。頭がついていかないまま、長い薄桃色の髪をとかして着替えた。
廊下に出ると、壁際にキトエが立っていた。いつから待っていたのだろうと心配になるが、キトエは近付いてきて「おはよう」と淡く微笑む。
「体調は?」
「あまり。魔力を取られるとか、言い伝えとか、どうせ体よく魔女を殺すための口実だと思ってたんだけど、昨日ここに入ったときから体が重いの。魔力を吸い取られてる感じ。神様かどうかは知らないけど、呪いなのは間違いない。あと、単純に寝不足」
キトエの表情が沈む。キトエがそんな顔をすることはないと、リコは笑ってみせる。
「朝ごはん作る元気はあるよ」
キトエが吹っ切るように微笑みを作る。
「朝ならもう作ってある。リコが寝てるあいだに作っておいた」
自分が、薄くなっている。
うそのような、うそではない現実。頭がついていかないまま、長い薄桃色の髪をとかして着替えた。
廊下に出ると、壁際にキトエが立っていた。いつから待っていたのだろうと心配になるが、キトエは近付いてきて「おはよう」と淡く微笑む。
「体調は?」
「あまり。魔力を取られるとか、言い伝えとか、どうせ体よく魔女を殺すための口実だと思ってたんだけど、昨日ここに入ったときから体が重いの。魔力を吸い取られてる感じ。神様かどうかは知らないけど、呪いなのは間違いない。あと、単純に寝不足」
キトエの表情が沈む。キトエがそんな顔をすることはないと、リコは笑ってみせる。
「朝ごはん作る元気はあるよ」
キトエが吹っ切るように微笑みを作る。
「朝ならもう作ってある。リコが寝てるあいだに作っておいた」