斉藤くんが、冷たくなった。
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「ねえ、私に隠し事してない?」
週明けの月曜日。学校に登校すると、挨拶よりも先に真紀からそんなことを聞かれた。
「あのね、実和子のことを疑ってるわけじゃないの。でもこの前、斉藤くんと歩いているのを見たって人がいて……」
もしかして、先日のことだろうか。駅前で待ち合わせをしてうちに連れていったから、知り合いに目撃されていても不思議じゃない。
「た、たまたま道でばったり会っただけだよ」
「本当に?」
「う、うん、本当に」
「私のこと、裏切ったりしないよね?」
真紀から手を掴まれた。
これは質問じゃなくて確認だ。私はニコリと笑って、真紀の手を握り返した。
「私が裏切るわけないでしょ?」
はっきりと言い切ると真紀は安心したように「だよね! 私も実和子のことを信じてるから」って笑った。
大丈夫。うまくやる。
うまく、いってる。