「俺と噓結婚して欲しいんだ」「みんなを騙すってことですか!?」




畔沼さんがドアを開け、私達を部屋に招き入れてくれました。
そこは、今まで見たどの部屋よりも、大きく豪華な造りでした。
「畔沼さん、ありがとうございます。では、大黒柱さんに挨拶させて頂きますね」

私は、部屋の奥にある大きな柱に向かって歩いていきます。
「ちょっと待てよ」
畔沼さんが私を呼び止めました。
「なんです?」
「お前、俺と結婚する気がないのか!?」
「貴方は、家が好きなんでしょう?」
「家と結婚したいわけじゃない!お前が、この家を、好きになればいいだけだろ!」
「……」
何を言い出すかと思えば、私が、家と仲良くなる側だというのか。
 ますます話が急展開を迎えます。一体、どうしてこうなった。
でも、家と、結婚したいのではなく、ただ、想っているだけだったなんて、確かに少し早とちりだったかも。
でも、そんなこと、言われても、何もわからなくて、今の気持ちにふさわしい適切な語彙すら見当たりませんでした。
「……。私は大黒柱さんと話します」
私は再び歩き出します。
「まてってば」
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