Re:スタート
「佳奈。今日こそ、見ていろよ」



そうつぶやいた瞬間、暖かな風が俺を包み込んだ。



『見ているよ』



佳奈にそう言われた気がして、俺は元気と勇気をもらう。



「よし、行くか」



俺は履き慣れたスニーカーで一歩一歩、地面を噛みしめながら歩く。

向かうは前回のライブハウス。


大丈夫。

緊張もしていない。

落ち着いている。

太陽も気温も、この踏みしめている地面からもエネルギーをもらっている、そんな不思議な感覚になった。
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