Re:スタート
俺はライブハウスへと向かい、会場入りをした。

オーディションの流れは前回と一緒。

エントリーナンバー順に呼ばれ、演奏をする。

俺は3番目だ。


控え室に入った俺は、ギターのチューニングを済ませてから、歌詞ノートを机の上に置いた。

それから席を立ち、控え室にあるドレッサーのようなものの鏡に自分の姿を映す。


今日の服装はなんだか落ち着く。

ゆとりがある明るい色のジーンズ。

ボーダーのTシャツに、白シャツを羽織っている。

髪型も気合を入れてセットしているわけじゃない。


……この姿は。

この洋服は。

佳奈が、俺に似合う、と見立ててくれた洋服だ。

そんな思い出が詰まった洋服を半年間捨てられずにいた。

それで良かったんだ。


俺の夢は佳奈の夢だった。

だから、佳奈と一緒にステージに立てる感覚になれて嬉しかったんだ。
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