Re:スタート
控え室のドアがノックされ、ドアが開かれる。

いよいよオーディションが始まるんだ。

俺は順番を待ちながら、佳奈との思い出を蘇らせていた。


数分の時間、色んなことを思い出した。

佳奈と出会った日のこと。

付き合った日のこと、幸せだった日々のこと。

すれ違ってしまった日のこと、別れたあの日のこと。

痛いくらいに思い出が胸に刺さる。



「3番の方、ご準備お願いします」



控え室のドアがノックされたと思いきや、呼ばれたのは俺だった。


いよいよだ。

俺は返事をしながら、女性のもとへ歩いていった。

女性に連れられ、ステージ横でスタンバイする。


そして、俺の順番が回ってきた。

俺は明るい光を浴びながら、ステージに上がった。

椅子に座っている3人の審査員の中には、あの、忘れもしない坂本さんが真ん中に座っている。

でも、今日は坂本さんに、審査員の人たちに歌を聴いてほしいんじゃない。


佳奈に届けるんだ。
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