Re:スタート
「……悠」

「やっぱり佳奈だ」



そう言って、くしゃっと笑う悠。

その目には、涙が浮かんでいるようにも見えた。

悠はギターケースを背負っていた。

ぼろぼろのギターケース。

そのギターケースから、悠がどれだけ練習してきたのかが伝わってくる。



「佳奈は、ここでなにしているの?」



悠は私の手元を覗き込む。

私の手には木の枝が握られていて、地面には途中まで書かれた悠へのメッセージ。

私は恥ずかしくなってそっぽを向いた。



「俺に向けて書いてくれたの?」

「……うん」

「やべー……。すごく嬉しい」



悠は照れたように、自分の髪の毛をかき乱した。

そんな姿に高鳴る胸。

久しぶりだからなのかもしれない。

悠と会ったのが半年以上ぶりだから、緊張で心臓がドキドキしてしまうのかもしれない。

きっとそうだ。
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