Re:スタート
「でもな、佳奈」

「……」

「俺には、もうひとつ、でっかい夢があったんだ」

「え……?」



歌手になる夢と同じくらい大きな夢。

それを叶えることは、もう無理かもしれない。

もう無理なんだ、って何度も思っていた。

でも、今だから、その夢を伝えるよ。



「佳奈と結婚するって、最高に幸せな夢を、ずっと持っていたんだ」

「……悠っ、」

「俺は佳奈が好きだよ。離れてから半年以上経つけど、佳奈のことを忘れた日なんて一度もない」



俺は佳奈のことを忘れることが出来なかったから。

想い続けてきたから、ここまで来ることが出来たんだ。



「俺は佳奈を愛しているよ」

「っ、」

「佳奈は、俺のこと、どう思っている?」



俺は佳奈の頭を撫でていた手をそっと、頬に持っていく。

佳奈の頬に触れ、うつむいていた顔を持ち上げる。

佳奈と俺の目が交じり合う。

ちゃんと佳奈の瞳に俺が映っている。

大きな涙の粒を目に浮かべる佳奈は、ゆっくりと口を開いた。
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