Re:スタート
「私も好き。悠のこと愛しているよ……」



泣きながら優しい微笑みを浮かべる佳奈。

そんな愛しい存在が今、腕の中にあると思うと信じられない。

本当に信じられないくらいだ。



「もう一度、俺と付き合ってください……っ」

「……よろしくっ、お願いします……」



佳奈の手が俺の背中にまわる。

抱きしめ合う俺たち。

俺は幸せでいっぱいだった。



「悠。……歌ってほしいな」

「え?」

「悠の歌、聴きたい」



そう言って佳奈は俺からそっと離れる。

俺の手を取り、佳奈はベンチへ向かって歩く。

そこには置きっぱなしのギターが、優しく俺たちを待っていた。

佳奈がベンチに腰掛け、そっとギターケースを撫でる。

ぼろぼろのギターケースが幸せそうに笑っているように感じた。

俺はそんな佳奈を見つめて微笑む。


ギターを手にした俺は、音を奏でる。

幸せな音。

それは、温かくて心が震える歌。
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