Re:スタート
……佳奈と初めて出会ったときにうたっていた歌。

佳奈が俺の隣に座っている。

俺の声とメロディーに合わせて、小さく口ずさんでいる佳奈。


大好きだよ。

愛しているよ。

世界で一番愛しい存在に向けて、俺は想いを乗せた歌を奏で続けるよ……。



「私、悠の歌声、好きだよ。……ずっと、忘れられなかった」

「……そっか。こうやって、佳奈に向けて歌うことが出来て、俺は幸せだよ」

「“忘れることができない彼女に届ける歌”だっけ?」

「ばかっ。なんで、それを知っているんだよ⁉」



隣にいる佳奈を見れば、佳奈はいたずらっ子のような笑みを浮かべていた。

今になると恥ずかしいセリフ。

もちろん佳奈に聞かれて恥ずかしいことはないけど……。

それでも、直接言葉にされると……。
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