Re:スタート
プロジェクトは確かに進んでいる。

テレビ会社とのアポイントメントだって取れているし、レコーディングだって順調だ。

ポスターなどの宣伝準備もできている。


だけど、何かが足りない。

それは、私も先輩たちも感じていたこと。

静かな空気を破ったのは私だった。



「確かに予定通りに計画は進んでいます」

「……」

「ですが、今の案だけでは足りないものがあると思うんです。“藤崎 悠”の魅力を存分に伝えることができる“なにか”を探しているところです」



私の言葉に坂本さんは目を細めた。

坂本さんと先輩の視線が私へと向けられる。



「深山さんは、どうしたら魅力を伝えられると思う?」



坂本さんの言葉に私は何も言えなかった。

この場で言えるんだったら、アイディアなんてとっくに出している。


分からないから……。

思いつかないから、今の出ている案だけで止まってしまっているんだ。

黙ってしまった私に坂本さんが言う。
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