Re:スタート

「藤崎さんには、全国ライブツアーをしてもらいます」

「……え？　ぜ、全国？」

「全国と言っても、大きなドームを貸し切るわけではありません」



どういうことだ？

意味が分かっていない俺に佳奈はまっすぐに目を見て、話をしてくれる。

その目は、輝いていた。



「各都道府県にあるライブハウスで歌って欲しいんです。その地域で、一番近くで見てくれている方々に歌を届けてほしい」

「……」

「“藤崎　悠”の魅力は、人の想いに寄り添えるところだと思います。テレビ出演で認知度を高めるのもいいですが、それだけでは、あなたの人柄、音楽を最大限に伝えられないと思いました」



何も言えない俺に、佳奈はにこっと微笑んだ。



「あなたの魅力は一言では言い切ることが出来ません。ですから、全国をまわって、実際にたくさんの人々に触れ、多くのファンを作り、ファンの想いに応えられるような藤崎さんになって欲しいんです」