Re:スタート
そして3時間後の午後2時。

ほぼ全ての準備を終えた私たち。

あとはチケットを配りに行くのと、悠のリハーサルをするだけだ。

熊山さんはこの3人の中で誰よりも力があるため、力仕事はスムーズに終わった。



「私、チケットを配りに行ってきますね」

「佳奈、少し休んでからでもいいんじゃ……」

「そうだぞ。まだ時間はある」



私はチケットの入った紙袋を持ちながら、首を横に振った。

休む暇なんてない。

でもそれ以上にワクワクしているんだ。

動きたくて仕方がないんだ。



「熊山さんっ」

「な、なんだ?」

「この周辺でおすすめのお土産屋さんとかありますか?」

「あるにはあるが……」

「次にお世話になるライブハウスの方たちに、ここの名産物を渡したくて」



せっかくの全国ツアー。

各地を回るなら、地域と地域を繋げていきたい。

次に行くライブハウスのお土産は、この場所で買いたい。

ここの名産物がほかの地域に渡ることも、このツアーの醍醐味だ。



「ここの名物は……」
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