Re:スタート
「ライブをしにきたんです。あちらのライブハウスで、明日行います」

「らいぶ……?」



おばあちゃんは、ぽかんと口を半開きにする。

ライブのことを知らないのかな?

私は首をかしげるおばあちゃんに、ライブについて説明する。



「新人歌手が歌をみなさんに届けるために全国を回っているんです。その最初の場所として、この地を選びました」

「ほお……」

「その歌手の名前は“藤崎 悠”っていうんですけど、みなさんの心に響く歌をうたいに来たんです」

「なるほどねぇ……」



おばあちゃんは頷きながら、お土産を袋に入れてくれた。

お土産の入った袋を私は受け取る。

そんな私におばあちゃんは問いかけた。



「こんな年寄りでもライブってもんには行けるんかねぇ……」

「え?」

「そこは若者が集まるところなんじゃないんかい? それに、ライブハウスっていうところもお金がかかるんだろう?」



……おばあちゃん、ライブに興味を持ってくれているんだ。

そう思ったら私は嬉しくなって、満面の笑みで鞄の中に入っているチケットを差し出した。
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