Re:スタート
「佳奈。今まで無理させてしまってごめん」

「……」

「今日のライブはとりあえず行ってくるから。今後のことは後で話そう。……坂本さんにも連絡しておくから」



そう言って悠は私の頭を撫でる。

立ち上がって、渡辺先生に頭を下げる悠。



「佳奈をお願いします」

「分かりました」



悠はもう一度私の頭を撫でる。



「ライブ行ってくるな」



待って。

待ってよ、悠。

私を置いていかないで。

私も一緒に連れて行ってよ……っ。


言葉にもできない私は、ただただ泣くだけしかできない。

渡辺先生と看護師さんが病室を出て行った後も、私は自分を責めて泣いていた。
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