Re:スタート
それから。

悠は一人で残りのライブをやってのけた。

私はその間、回復に努めた。

内科的な検査も受けたけど、体に異常はなかった。


悠は一人で各地のライブハウスを回ったから、2週間、悠と会えない日々が続いた。

だけど、決まった時間に電話をかけてくれる悠。

ライブで嬉しかったこと、楽しかったことを報告してくれたり、私の体調も心配してくれたりする。

私も徐々に声が出るようになり、自分のことも話せるようになった。


悠との電話は幸せな時間だった。

だけど、悠に会えない日々は寂しくて辛かった。

一緒にいることが当たり前。

それが当たり前のようだったから、この2週間は本当につらかった。

でも、これから先も悠と一緒にいることが当たり前。

そう思いたい。


私はなんとなく、自分の左手を見つめた。

指輪がついていない左手の薬指。

いつか、この薬指に……。

なんて、急にどうしちゃったんだろうな、私。
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