Re:スタート
「これは全部、ファンレターだ。藤崎くんと深山さん宛だ」

「えっ、これ全部ですか⁉」

「私宛もあるんですか……っ?」

「そうだよ。本社にも手紙が来る。……ほら、読んでみなさい」



そう言われて私たちは、積みあがった段ボールを一つ抱え、床に下ろす。

その中から、手紙を取り出し読み始める。



『もう一度、藤崎さんの歌を聴きたいです!』

『藤崎さん、深山さん、お疲れ様。君たちの姿には感動しました』

『ライブに行けなかったことを後悔しています……。ドームライブとか開催しないんですか?』



手紙の多くには『ライブをもう一度やって欲しい』というメッセージが書かれていた。

そんな温かい手紙に涙している佳奈。

そういう俺も涙腺が緩くなり、今にも涙がこぼれそうだった。



「このツアーはSNSでも話題にもなっていた。だから、次は全国から観客を集めて、大きくライブをしたいと思っている。……ラストライブ、やるかい?」

「……もちろんです! やらせてください!」



俺は坂本さんに向かって大きく頷いた。
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