Re:スタート
「俺が何度だって好きになるのは、佳奈だけなんだよ。そんな佳奈と、俺はちゃんと向き合えている?」

「うん……っ。もちろんだよ……」



佳奈の震えたような声が小さく聞こえる。

佳奈の言葉に俺は安堵する。

俺が誰かを好きになって、その人と向き合いたいと思うのは、これから先も佳奈だけだよ。

そんな佳奈に微笑んで、俺はギターを持ち直す。



「歌手人生のほかに叶えたかった、もう一つの大きな夢を叶えたいんだ」



佳奈はㇵッとしたように手で口を押える。

そうだよ。

俺は今から佳奈にプロポーズをしたいんだ。

佳奈と結婚するという、大きな夢を叶えるために。



「どうやって気持ちを伝えようか、ずっと考えていたんだけど、俺はうたうことしかできないから」



歌にのせて佳奈への気持ちを届けたい。

今日、この瞬間のために書いていた曲。

誰にも聞かせたことがないこの曲を佳奈に聴いてほしい。



「聴いてください。“Re:スタート”」
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