Re:スタート
翌日。


職場に着いて挨拶をして入った私だけど、挨拶は返ってこなかった。

挨拶は無視されるが、冷たい視線だけは送られているのが分かる。

ホールの先輩たちから、ひそひそと私の悪口のようなものが聞こえる。



「あの子、男好きって聞いたよ」

「店長に色目使っているらしいじゃん」

「ありえなーい」



私はホールの女性スタッフから逃げるようにキッチンに入った。


なんでこんなひどいことを言われなくちゃいけないの?

もしかして、山本先輩がこんな噂を流したの……?

ひどいよ……。


私は悔しさをこらえながら仕事を始めた。


だけど、その日以降、私に関するいろんな噂が耳に入ってきた。

例えば、私が料理に使うはずの食材を勝手に持ち帰っているだとか。

就職活動がうまくいかなくて、この職場に嫌々入ってきたとか。

店長は噂を知らないのか分からないけれど、今までのように私に仕事を教えてくれたのが、唯一の救いだったかもしれない。


根も葉もない噂が流れている。

それが余計気に食わなかったのか、ある日事件は起きた。
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