Re:スタート
「まあ、どちらにせよ、こんなことが起こってしまった以上、君もこの職場には居づらくなるだろう」

「……え?」

「今回の件だけじゃない。君に関する噂も耳に入ってきている。余計居心地が悪いだろう」

「……」

「自主退職も一つの手だと思う。……君のためを思って言うよ」



頭が真っ白になった。

ショックで言葉が出なくなった。


沈黙が続く空間に響いたのは店長のため息。

そこでハッとする。


私の居場所はここにはないんだ……。


もう無理だ。



「辞めます……。今まで、お世話になりました」

「分かった。これで、荷物全部まとめて帰っていいから」



私は、その場で退職届を書いた。


荷物をまとめて店を出れば、日もすっかり落ちた夜だった。

お店を出た瞬間、こらえていた涙があふれた。


……あの職場に私の居場所はない。

居心地だって最悪だし、嫌がらせはされる。

店長だけは味方になってほしかった。

だけど、店長から言い渡された言葉は“自主退職”。

言葉を変えれば“クビ”ということなのかもしれない。
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