Re:スタート
悔しい。

悲しい。


今まで、理不尽ないじめや噂に耐えていれば、いつか楽しい日々がやってくると信じていたけれど、そんな日は訪れなかった。

心がぼろぼろでも、職場に向かう足が重たくて引きずるように歩いて出勤して頑張っていたのに。


今回の件で、完全に心を砕かれた。

今にも割れそうなガラスが、ガシャンと崩れ落ちた音が自分の中から聞こえた。

アパートの部屋にも帰りたくなかった私は、ふらふらと住宅街をさまよった。


明るい街灯が並んでいる。

こんな私のことを照らさなくていいのに……。


そう思った。

そんな街灯に導かれるようにたどり着いたのは、住宅街から離れた小さな公園。


公園で時間でもつぶすか……。

そう思って公園に一歩、足を踏み入れると、微かに歌声が聞こえた。



「こんな夜に誰が……?」



私は澄んだ歌声に吸い込まれるように公園の中へ入った。
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