Re:スタート
「ありがとう、ございます……っ、」



私は視線と同じ高さにあるハンカチを受け取って涙を拭く。


クリアになる視界。

彼の顔がはっきり目に映る。

色素の薄いアーモンド形の瞳。

すっとした鼻筋。

形のいい唇。

彼の色素の薄い茶色の髪の毛が、公園のライトに照らされている。



「俺でよかったら、話聞くよ?」



そう言って彼は『おいで』というように、私に手を差し伸べた。

私はおずおずと、その手を取る。


手が触れた瞬間、彼は私の手を握りしめ立ち上がる。

つられて私も立ち上がったが、バランスを崩してしまう。

そんな私を支えてくれる彼。



「ごめん、勢いよく引っ張りすぎちゃった?」

「あ、いや……。大丈夫、です」



彼の腕の中、ドキドキと高鳴る私の心臓。

うるさい心臓の音を聞かれたくなくて、私はすぐに彼から離れる。

同時に、触れていた手も離れる。

彼のぬくもりが残った手を、もう片方の手で握りしめた。


そんな私に気づかずか、彼はギターの置かれたベンチへと歩いていく。

私は小走りで彼のあとを追う。



「隣、座る?」



彼はベンチに座る。

私は頷きながら、彼の隣にそっと座った。
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