Re:スタート
「情けないな」



俺のため息は小さく消えていった。


それにしても暑い。

窓を閉め切っているから、風も入ってこない。


……出勤時間まで散歩でもするか。


気分転換になるか分からないけど、少し歩いてみよう。


俺は半袖Tシャツにハーフパンツに着替えて、スニーカーを履く。

玄関のドアを開けると、風が舞い込んでくる。


思ったより風が強い。

雨が降りそうな風の強さではない。

この風が心の中の霞みを取り払ってくれればいいのに。

そう思いながら、俺は朝の散歩を始めた。


静かな住宅街。

道の端には、名前も知らない小さな花が咲いていた。

黄色の花びらに、青々とした緑の葉。

そんな小さな発見に、少しだけ心が安らぐような不思議な感覚になった。
< 36 / 224 >

この作品をシェア

pagetop