Re:スタート
「感動したの。……悠さんの歌に、心が震えたの」



少し赤く染まった佳奈の頬を見て、俺の胸はぎゅっと熱くなった。

俺の歌を聴いてくれて感動したと言ってくれている。

その言葉が、俺の心を震わせた。


やっぱり、音楽を続けたいと思った瞬間だった。

それに、佳奈のしぐさ、言葉ひとつひとつが、嬉しかった。

一生懸命気持ちを伝えようとしてくれて、それがなんだか可愛く見えた。



「私、頑張れるよ。……まだまだ辛いことたくさん出てくると思うけど、私、頑張るから」

「辛いことがたくさん?」

「うん。仕事もなくなっちゃたし、アパートの家賃払うお金もないから……」



しばらく野宿生活かな。

そう言って無理して笑う佳奈が痛々しかった。



「頼れる友達とかはいないの?」

「親友はいるけど……。彼女にとって今は仕事の大切な時期だから。私のことで負担かけたくないんです」



無理して笑っているのなんてすぐに分かる。

佳奈とは初めて会ったけど、こんな笑い方は似合わない。

もっと、心からの笑顔が佳奈には似合うと思う。


そんな佳奈をなんとか助けてあげたくて、いつか心からの笑顔を取り戻してほしくて。

その笑顔を隣で見ることができたら……、なんて下心も正直あった。


俺の口から出た言葉は。
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