Re:スタート
本当は、悠のほかに好きな人なんていない。

新しい彼氏なんていない。

だけど、私には嘘をつくことしかできなかった。


実家にも帰ることができない私は、行く宛がなく、気が付けば親友の瑠奈に電話をかけていた。



『もしもし? こんな遅くにどうしたの?』



瑠奈は高校時代からの親友で、私が悠と一緒に暮らしていることも知っている。

いや、今は”悠と暮らしていた”が正しいな……。

そんな瑠奈の声を聞いた私は思わず涙をこぼしていた。



「悠、とっ。別れた……っ、よ」

『えっ、』



電話の向こう側で戸惑っている声がする。

住宅街の真ん中で泣きじゃくり、ふらふらと歩く私。

そんな私の頭の中には、いつも見ていた悠の後ろ姿が浮かんでいた。
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