Re:スタート
貯金なんてほとんどない。

8時間の工場勤務の他でもっと稼いでこないとダメだ。

幸いなことに、うちの会社はWワークが許されているからよかった。


俺は佳奈との生活を守るために、昼は工場勤務、夜は居酒屋でアルバイトを始めることにした。



「支えてもらってばかりでごめんね」

「なに言ってんだよ。俺だって佳奈に支えてもらってるよ」



毎日、口癖のように言う佳奈。

だけど、本当に俺は佳奈に支えられているんだ。

居酒屋のバイトを増やしてから、体力精神的に負担が大きくなる。


でもね、佳奈。

俺はアパートの部屋に帰ることが楽しみになったんだよ。

日付けが変わったころに仕事が終わってアパートに帰る俺。


『仕事終わったから帰るね』なんて、佳奈に連絡をすればすぐに帰ってくる返信。

『今日の夕飯は唐揚げだよ』って絵文字つきのメッセージに仕事で疲れていた心が軽くなる。

玄関の扉を開ければ、佳奈がパタパタと部屋の奥から駆け寄ってきてくれる。

それが凄く嬉しくて、愛しかった。
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