Re:スタート
「私でよければっ。悠さんの彼女になりたいです」

「佳奈がいいんだよ。改めて、これからよろしくね」

「こちらこそ」



悠さんの彼女……。

喜びが抑えきれない私の頬は緩んだまま。


悠さんはそんな私の腕を引っ張った。

ぽすん、と悠さんの腕の中に納まる私。


だっ、抱きしめられている……?

悠さんの顔が見たくても、大きな手が頭を押さえるから顔を上げることができない。



「……呼び捨てがいい」

「え?」

「彼女とか家族には、”悠”って呼んで欲しい」



彼女とか、家族……。

悠さんの特別な存在。

今更、呼び捨てなんて照れるし慣れないし、戸惑うけど。


でも、”悠”と呼んでいいのなら。



「悠。……好きだよ」

「――っ、」

「?」



後頭部を押さえられている手に力が入るから、悠と更に密着する。

寒さなんてなんて関係ないくらい、温かい。
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