Re:スタート
写真を見ながらぼーっとしていた私。

思い出は思い出だ。

いくら振り返ったって、もとに戻れることなんてない。



「このままじゃ、ダメだよね……」



だけど、私は写真を消すこともできず、携帯をズボンのポケットに入れる。

悠のことは忘れて、前に進まなくちゃいけないのに。

そう思えば思うほど、うまくいかない。


仕事だってしたい。

社会復帰したい。

瑠奈の家にいつまでもお世話になっているわけにもいかないし……。

そんなことを考えていると。



「ただいまー」



玄関の扉が開く音と、瑠奈の明るい声が聞こえた。


あ、もうそんな時間なんだ……。


壁にかかっている時計を見れば、現在時刻19時半。

瑠奈がひょこっとリビングに顔を出す。



「今日の夕飯なにー?」

「鯖の味噌煮だよ」

「佳奈は和食作るの、本当に好きだねー」



そう言って瑠奈は『着替えてくる』と言って隣の部屋に入っていった。
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